ブラックトゥ(爪下血腫)のメカニズム
ブラックトゥ(爪下血腫)の正体は、物理的な衝撃による内出血です。下山時に足が靴の中で前方へ滑り、爪が靴の内側に繰り返し衝突、あるいは圧迫され続けることで発生します。爪の下の皮膚(爪床)から出血した血液が逃げ場を失い、その圧力で激痛を伴うことも少なくありません。
ブラックトゥの主な原因と特徴
| 原因のタイプ | 発生のプロセス | 近年の傾向 |
|---|---|---|
| 靴が小さすぎる | つま先が常に圧迫されている状態。 | ワイド設計の浸透により減少傾向。 |
| 靴が大きすぎる | 下りの勢いで足が滑り、壁に激突する。 | 初心者の「大きめ選択」により激増中。 |
対策の9割は「フィッティング」と「紐」
予防のゴールデンルールは、登山用ソックス着用時に**1.0cm〜1.5cmの「捨て寸(余裕)」**を確保することです。これより狭ければ「圧迫死」、広すぎれば「衝突死」を招きます。また、下山直前に足首部分をガチガチに締め直し、物理的に足の前滑りを封じ込める儀式が不可欠です。
最終兵器「村井 フィッティングピロー」の活用
どうしても前滑りが止まらない場合の最終手段が、つま先に詰める「村井 フィッティングピロー」です。これは単なるクッションではなく、靴内部のデッドスペースを殺し、**「前滑りを物理的に止めるストッパー」**として機能します。低反発素材により、ティッシュを詰めるのと違い、指への当たりが圧倒的に柔らかいのが特徴です。
注意点と「肯定派・否定派」のリアルな声
この詰め物は「靴のサイズを小さくする」ための道具です。既にジャストサイズ、あるいはキツイ靴に使用すると圧迫が悪化し、地獄を見ることになります。
- 肯定派: 「0.5cm大きすぎた靴が生き返った」「左右の足のサイズ差が解消された」。
- 否定派: 「夏山で汗を吸って不衛生になる」「サイズ選びをミスして逆に痛くなった」。
もしブラックトゥになってしまったら
受傷直後(24-48時間以内)で激痛がある場合は、皮膚科等で爪に微細な穴を開けて血を抜く「穿孔処置」を受けると、圧力が抜けて痛みが激減します。痛みが落ち着いている場合は、無理に剥がさず「放置」が正解です。新しい爪が下から生え変わり、死んだ爪を押し出すまで、親指で約1年を要します。
2026年のブラックトゥ対策まとめ
ブラックトゥは「登山者の勲章」ではなく、単なる「フィッティングの失敗」です。
- 基本: 1.0cm〜1.5cmの捨て寸がある靴を選ぶ。
- 技術: 下山前に靴紐をガチガチに締め直す。
- 調整: 必要に応じて「フィッティングピロー」でデッドスペースを殺す。