日本人の足を知り尽くした「3E+」の魔法
欧米人の足型とは根本的に設計図が違う、我々日本人の幅広甲高な足。そんなハイカーの「駆け込み寺」がシリオ(SIRIO)です。企画は日本、設計・生産はイタリアという体制が生む「3E+」という独自のワイズ設定は、外反母趾や内反小指に悩むハイカーに圧倒的な安心感を与えます。
製品仕様・スペック比較
| 項目 | 旧モデル (P.F.156-2) | 新モデル (現行) |
|---|---|---|
| ワイズ(足幅) | 3E+(日本人専用木型) | |
| 市場参考価格 | ¥18,000 前後 | ¥23,650 (税込) 前後 |
| 足首周り | 堅牢・硬め | ソフト化・フィット向上 |
| タング(ベロ) | 標準的な厚み | 薄型化により圧迫軽減 |
| 生産国 | イタリア、ベトナム | |
新旧対決:5000円の差額はどこに宿るのか
2025年にかけて行われたフルモデルチェンジで定価は上昇しましたが、市場にはまだ安価な旧モデルが残っています。新型は足首周りやタングがソフトに改良され、履き始めの快適さが向上しています。しかし、旧モデルの「硬さ」は重い荷物を背負う際の「サポート力」の裏返しでもあり、捻挫リスクを断つギプスのような安心感があります。「安く、頑丈」を求めるなら、旧モデルは2026年における最適解です。
「昭和の登山靴」と笑えない実利:泥と苔への最適化
シリオのデザインは地味で、SNS映えとは無縁かもしれません。しかし、この茶褐色の配色は、日本の湿った土や泥汚れすら勲章に変えます。また、Vibram社と共同開発した「USAGI」ソールは、乾燥した岩場用ではなく、日本の「ぬるっとした」路面を掴むことに特化した、適度な食い込みを実現しています。
軽量化競争の敗者? いえ、それは「防御力」の証です
片足約500g後半という重量は、最新の軽量シューズに比べれば重く感じるでしょう。しかし、この重さは厚みのある撥水スエードとナイロンによる「鎧」の重さです。ガレ場で足を挟んでも、指先をしっかりと守り切る。この頑丈さは、脚力に不安がある層にとって疲労ではなく、絶対的な安心感として作用します。
モンベル・キャラバンとの決定的な違い
「歩きやすさ」のモンベル、「クッションの優しさ」のキャラバンに対し、シリオは「ソールの剛性(硬さ)」が強めに設定されています。これは岩場や木の根が露出したテクニカルな道でも、靴底が曲がりすぎず足裏の疲労を軽減するためです。整備された道ならモンベル、荒れた道ならシリオという使い分けが正解です。
弱点:アスファルトは天敵? グリップと寿命の等価交換
「滑らない」ために採用された粘り気のある柔らかいゴム配合は、舗装路(アスファルト)の上では消しゴムのように削れていきます。しかし、これは安全性と引き換えのコストです。「滑って怪我をするリスク」を抑えるための、シリオなりの誠実な割り切りと言えます。
結論:2026年、あなたが買うべき一足
実利を優先する賢明なハイカーへの指針です。
- 旧モデル(P.F.156-2)の在庫がある場合: 18,000円台で手に入る「動く要塞」として、即確保すべきコスパ最強の選択です。
- 新モデルしか手に入らない場合: 2万円台前半であっても、他ブランドに比べれば依然として適正価格。特に初めての登山靴で、足入れの良さを優先したい方に推奨します。