TNFフットウェアの現在地:二大派閥の戦略
ザ・ノース・フェイス(TNF)の登山靴は、現在大きく二つの派閥に分かれています。街と山をシームレスに繋ぐ**「ステディモデル」**と、最新技術で推進力を生む**「ファストハイクモデル」**です。ファッションアイコンとしての地位を確立しつつ、中身はガチの山岳スペックへと進化を遂げています。
定番モデル:Creston Hike Mid WP 製品仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | Creston Hike Mid WP |
| 防水素材 | HydroSeal™(TNF独自素材) |
| アウトソール | Vibram® XS-TREK(耐久性重視) |
| 重量 | 約 530g(9インチ / 片足) |
| 実勢価格 | ¥19,000 〜 ¥23,000 前後(税込) |
定番 Creston Hike Mid WP:スペックの嘘と真実
Amazonのランキング常連である本モデルは、2026年のインフレ下でも2万円前後を維持する貴重な存在です。アッパーには環境配慮型のCORDURA® ECOを採用し耐久性は十分ですが、知っておくべき「妥協点」も存在します。
- 非GORE-TEXの独自防水: TNF独自の「HydroSeal™」は防水性は十分ですが、透湿性はGORE-TEXに一歩譲ります。真冬や春先には有利な保温性を持ちますが、真夏の低山では蒸れへの覚悟が必要です。
- ソールはXS-TREK: Vibram社製ですが、最高級のMegagripではなく耐久性重視のXS-TREKです。乾いた道は快適ですが、雨上がりの濡れた岩場では過信は禁物です。
Crestonを選ぶべき人、選んではいけない人:サイズ感の罠
本モデルの真価は、月1回の日帰りハイキングやフェス、雨の日の通勤に使える**「山も歩けるスニーカー」**としての汎用性にあります。マットな黒のデザインは都心の電車内でも浮かない「ゴープコア」のど真ん中です。
ただし、サイズ選びは要注意。欧米人のラストをベースにしているため、幅が狭く甲が低いです。典型的な日本人の足なら**0.5cm〜1.0cmアップ**が標準的な選択となります。また、本格的なアルプス縦走や岩稜帯を攻めるにはソールが柔らかすぎるため、上位機種の『Scrambler』等を検討すべきでしょう。
歩くエナジードリンク『VECTIV』:勝手に足が前に出る衝撃
2026年の台風の目となっている『VECTIV』シリーズは、つま先が反り上がった「ロッカー構造」が最大の特徴です。足を入れるとゆりかごのように前に転がる感覚があり、登りでの疲労を劇的に軽減します。
2025年春に登場した「VECTIV 3.0」テクノロジーでは、初期の欠点だった踵の抜けやすさやプレートの硬さが解消されました。HOKAやSalomonが席巻していた「厚底・ロッカー系」市場をTNFが本気で奪還しに来ている、まさに「攻めの靴」と言える仕上がりです。
2026年の最終結論:あなたにとっての最適解
TNFの登山靴選びは、あなたの優先順位によって明確に分かれます。
- Creston Hike Mid WP を選ぶべき人: 予算を2万円前後に抑えたい、低山ハイクがメイン、街履きやフェスとの兼用、ファッション性重視。
- VECTIV シリーズを選ぶべき人: 「楽に、速く、遠くへ」歩きたい、最新テクノロジーを体感したい、予算よりも疲労軽減パフォーマンスを優先する。
「とりあえずの1足」ならCrestonのコスパと汎用性は最強ですが、もし「登山のしんどさを道具で解決したい」なら、数千円を足してVECTIVを選ぶ価値は十分にあります。